2009年9月13日

8月21日に日本人観光客がドイツの駅にトランクを放置したため、爆弾テロと判断した警察が駅を封鎖するという騒ぎが発生したが、この日本人が多額の損害賠償を請求される可能性が強まっている。

爆弾騒ぎが起きたのはハンブルク中央駅。

6番線のプラットホームで、トランクが錠と鎖でベンチに固定されているのを市民が見つけて警察官に通報。

アナウンスを行っても持ち主が現われないために、警察は爆弾テロの恐れがあるとして4本のプラットホームと通路を封鎖。

乗客は駅構内から退去するよう求められたほか、食堂や商店も一時閉鎖されるなど大騒ぎになった。

1時間半後にトランクの持ち主の41歳の日本人男性が現れたために、爆弾ではなかったことが判明した。

この観光客は、「トランクを持たずに市内観光をするために、盗まれないようにベンチに固定した」と説明している。

ヨーロッパでは、捜査当局がイスラム過激派による爆弾テロに対して警戒を強めている。

そうした社会情勢を知らずにトランクを放置して騒ぎを引き起こした観光客の無神経な態度に対して、批判の声が上がっている。

 この騒ぎのために、2本の近距離電車が運休したほか、約40本の長距離列車に大幅な遅れが出た。

この観光客が刑事責任を問われる可能性はないが、ドイツ鉄道会社は列車の遅延について多額の損害賠償を請求する可能性が強い。

トランクをプラットホームに放置すること自体は、法律違反ではない。

しかしドイツでテロの危険が高まっていることを考えると、少なくとも社会の常識を逸脱した行為だ。

駅のコインロッカーの料金は、4ユーロ(532円・1ユーロ=133円換算)。

この日本人観光客にとっては、1000円に満たない金の節約が、大きな経済損害につながったことだけは間違いない。